探偵になるには|変装好きな社長
2025年11月19日
図解 秘探偵・調査マニュアル
渡邉 直美
探偵という仕事に変装はつきもの。尾行などをするときに、街にとけ込んで目立たないようにするのが目的である。なかには、変装が大好きな探偵もいるのだ。そういった好みは、探偵学校に通学しているときからわかったりもする。
一見すると、普通の50歳代のおじさんに見えるTさんもそんな変装好きのひとり。
実はこのTさんは大企業の社長で、私がそれを見破ったのはある冬の日のこと。彼が脱いだコートの内ポケットには、なんと携帯電話が6本も入っていたのだ!!! そう、マメなことに、愛人ごとに電話を換えているというわけである。それが彼なりの誠意なのだそうだ。多いときには8本もあったっけ。
そのマメさは変装にもあらわれる。街に出る尾行の実地授業(街へ繰り出してアットランダムに標的を決めて尾行する)があるときは、必ず10分前に学校へ来て、担当講師の服装などから現場がどこの街なのかをを類推し、所に停めてある愛車
ベントレーに戻って変装をしてから授業に望むという凝りよう。彼のクルマには、衣装はもとより、メガネやカツラのバリエーション、ヘッドホンなどの変装ギアが揃っていて、サラリーマン、学生、酔っぱらいオヤジなどなど、まさに七変化が可能なのだ。
圧巻だったのは女装をしたとき。「遅刻しそうなので現地へ直行します」という連絡があったが、いつまで経っても現れない。実地授業が終わって学校に集合すると、見かけない女性の顔が。そう、Tさんだったのだ。女装のプロにやってもらったということだが、顔も小さいし、手足ばかりでなく眉まで細いTさんは、女装をしていても違和感がなかったのである。
もともと、人を驚かせることが好きなTさんは、こうして変装の技を披露することによってストレスを解消しているようだ。半年経っても2ヵ月間のカリキュラムが終わらないほど忙しい毎日、ストレスが溜まるのはわかるけど早く卒業してほしい。というのも、Tさんに感化されて他の生徒たちが変装に熱心になり、凝った変装で尾行して私のプライベートを暴く生徒が増えて困っているからなのだ。
一見すると、普通の50歳代のおじさんに見えるTさんもそんな変装好きのひとり。
実はこのTさんは大企業の社長で、私がそれを見破ったのはある冬の日のこと。彼が脱いだコートの内ポケットには、なんと携帯電話が6本も入っていたのだ!!! そう、マメなことに、愛人ごとに電話を換えているというわけである。それが彼なりの誠意なのだそうだ。多いときには8本もあったっけ。
そのマメさは変装にもあらわれる。街に出る尾行の実地授業(街へ繰り出してアットランダムに標的を決めて尾行する)があるときは、必ず10分前に学校へ来て、担当講師の服装などから現場がどこの街なのかをを類推し、所に停めてある愛車
ベントレーに戻って変装をしてから授業に望むという凝りよう。彼のクルマには、衣装はもとより、メガネやカツラのバリエーション、ヘッドホンなどの変装ギアが揃っていて、サラリーマン、学生、酔っぱらいオヤジなどなど、まさに七変化が可能なのだ。
圧巻だったのは女装をしたとき。「遅刻しそうなので現地へ直行します」という連絡があったが、いつまで経っても現れない。実地授業が終わって学校に集合すると、見かけない女性の顔が。そう、Tさんだったのだ。女装のプロにやってもらったということだが、顔も小さいし、手足ばかりでなく眉まで細いTさんは、女装をしていても違和感がなかったのである。
もともと、人を驚かせることが好きなTさんは、こうして変装の技を披露することによってストレスを解消しているようだ。半年経っても2ヵ月間のカリキュラムが終わらないほど忙しい毎日、ストレスが溜まるのはわかるけど早く卒業してほしい。というのも、Tさんに感化されて他の生徒たちが変装に熱心になり、凝った変装で尾行して私のプライベートを暴く生徒が増えて困っているからなのだ。