再会後の悲惨な末路
2025年11月19日
図解 秘探偵・調査マニュアル
渡邉 直美
埼玉県に住んでいるという19歳の女の子からの調査依頼は、成功したもののとんでもない結末を迎えてしまった。
依頼内容は、まもなく結婚することになっているのだが、一度も会ったことがないお父さんに結婚式に出てもらいたいので探してほしい、というよくあるものだった。実は彼女、母親が妻子ある男性と不倫の末にできた子供のため、戸籍上にも父親の名前は載っていないのだという。しかも、母親には内緒で調べてもらいたいとのこと。私は、彼女に「もっとお父さんに関する情報をお母さんから聞き出して」とアドバイスをした。
しかし、彼女の母親は頑として口を開こうとしなかったという。だが、それでも
彼女はきわめて有力な情報を母親から聞き出してきた。それは対象者(父親)の名前と当時住んでいた場所の地名。女性の場合には、結婚で姓が変わってしまうことが多いので、名前がわかってもあまり意味はないのだが、男性の場合は一生同じ苗字なので、これを手がかりに見つけ出すことは比較的容易なのだ。
私は対象者が以前住んでいたという住所へ出向き、聞き込みを開始した。しかし、誰もが口々に「知らない」「覚えていない」「聞いたことがない」という。私は、彼
らの口調に貝ならないものを感じた。もしかしたら何か隠しているのかも…....。私は、知人の警察関係者にその周辺で以前、何らかの事件が起きていないか調べてもらった。
すると…....やはりあった。しかも、最悪の殺人事件が!! 20年前のある日、対象者が不倫をし、しかも相手の女性が妊娠している(依頼者だ!!)ことに高した妻が、無理心中を図ろうとまず子供を殺害し、対象者にも襲い掛かった。そして2人でもつれ合ううちに、対象者は誤って妻を刺し殺してしまったのだという。
対象者は燃役刑を受けたが、すでに出所していた。私はこれをありのまま依頼者に伝えるべきかどうか悩んだ。そして、依頼者の母親に接触することにした。私は、母親に今までのいきさつをすべて話した。すると、彼女は、「わかってしまいましたか....。いつかは話さなくてはいけないと思っていたんです。実は、彼も出所して以来、娘に一度でいいから会いたいって言っていたんです。娘には私からすべて話しますので、渡邉さんは彼に会って会う段取りをつけてくださいますか」といったのだった。
正直言って、重荷が肩から降りて私はホッとした。私は早速、対象者に会い、娘さんが会いたがっていることを話し、会う場所と日時を決めたのだった。
再開当日、3人の間には一言も会話はなかった。母親から自分の父親が人殺しであることを教えられた娘(依頼者)は、ただただ父親を憎悪の目でみるば
かりであった。そして2時間後、無言のまま娘が席を立ち、その場から走り去っていった。
数日後、父親の元に娘から1通の手紙が届いた。私は、母親にその手紙を見せてもらったのだが、そこには考え得るありとあらゆる罵詈雑言が並べ立てられていた。
そして、最後に一言「人殺し、呪い殺してやる」と…....。
テレビなどでは感動的な再開シーンしか放映されないが、実際にはこのような地獄の再開シーンも存在する。調査していてそのような事実に直面してしまったとき、今だに私は事実をありのまま依頼者に伝えるべきなのかどうか悩んでしまう。
依頼内容は、まもなく結婚することになっているのだが、一度も会ったことがないお父さんに結婚式に出てもらいたいので探してほしい、というよくあるものだった。実は彼女、母親が妻子ある男性と不倫の末にできた子供のため、戸籍上にも父親の名前は載っていないのだという。しかも、母親には内緒で調べてもらいたいとのこと。私は、彼女に「もっとお父さんに関する情報をお母さんから聞き出して」とアドバイスをした。
しかし、彼女の母親は頑として口を開こうとしなかったという。だが、それでも
彼女はきわめて有力な情報を母親から聞き出してきた。それは対象者(父親)の名前と当時住んでいた場所の地名。女性の場合には、結婚で姓が変わってしまうことが多いので、名前がわかってもあまり意味はないのだが、男性の場合は一生同じ苗字なので、これを手がかりに見つけ出すことは比較的容易なのだ。
私は対象者が以前住んでいたという住所へ出向き、聞き込みを開始した。しかし、誰もが口々に「知らない」「覚えていない」「聞いたことがない」という。私は、彼
らの口調に貝ならないものを感じた。もしかしたら何か隠しているのかも…....。私は、知人の警察関係者にその周辺で以前、何らかの事件が起きていないか調べてもらった。
すると…....やはりあった。しかも、最悪の殺人事件が!! 20年前のある日、対象者が不倫をし、しかも相手の女性が妊娠している(依頼者だ!!)ことに高した妻が、無理心中を図ろうとまず子供を殺害し、対象者にも襲い掛かった。そして2人でもつれ合ううちに、対象者は誤って妻を刺し殺してしまったのだという。
対象者は燃役刑を受けたが、すでに出所していた。私はこれをありのまま依頼者に伝えるべきかどうか悩んだ。そして、依頼者の母親に接触することにした。私は、母親に今までのいきさつをすべて話した。すると、彼女は、「わかってしまいましたか....。いつかは話さなくてはいけないと思っていたんです。実は、彼も出所して以来、娘に一度でいいから会いたいって言っていたんです。娘には私からすべて話しますので、渡邉さんは彼に会って会う段取りをつけてくださいますか」といったのだった。
正直言って、重荷が肩から降りて私はホッとした。私は早速、対象者に会い、娘さんが会いたがっていることを話し、会う場所と日時を決めたのだった。
再開当日、3人の間には一言も会話はなかった。母親から自分の父親が人殺しであることを教えられた娘(依頼者)は、ただただ父親を憎悪の目でみるば
かりであった。そして2時間後、無言のまま娘が席を立ち、その場から走り去っていった。
数日後、父親の元に娘から1通の手紙が届いた。私は、母親にその手紙を見せてもらったのだが、そこには考え得るありとあらゆる罵詈雑言が並べ立てられていた。
そして、最後に一言「人殺し、呪い殺してやる」と…....。
テレビなどでは感動的な再開シーンしか放映されないが、実際にはこのような地獄の再開シーンも存在する。調査していてそのような事実に直面してしまったとき、今だに私は事実をありのまま依頼者に伝えるべきなのかどうか悩んでしまう。